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シロザケの産卵

 色とりどりの落ち葉が川面を流れるなかを遡上するシロザケの小群が、緩やかな流れの産卵場所に辿りついた。うまくペアリングに成功したメスは、体を横にして波打つように大きく尾びれを動かし、川底の小石を繰り返し水中に跳ね上げていく。やがて川底に窪地ができ、産卵の準備を整えた。オスは次々と寄ってくるライバルを、発達した大きな口を開いて噛みつき、追い払う。メスを巡る激しい戦いは、昼夜問わず、数日間続いた。

 それから数日後の朝、大きく開口してメスの横で体を震わせアピールを続けてきたオスの求愛に、メスも開口して応えた。宝石のように美しい卵を産み落とした後、水中は霧が湧いたように真っ白に染まった。産卵行動は、数回に分けて繰り返された。メスは卵を隠すために、尾びれを使って窪地に小石を戻していった。

 
 シロザケの産卵の撮影は、2年越しに成功した。今秋はサケの遡上数も少なく、諦めかけていたが、秋の終わりにその瞬間はやってきた。何事も最後まで諦めなければ、光は優しく照らしてくれる。
 
 
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