北海道の山域から海岸まで、好奇心の赴くままに野生動物を追いかけ旅を続けてきた。自然のリズムに寄り添い、ひとり大自然の中に身を置くと、自分の内に眠っている野生が少しずつ芽生えてくるのがわかる。そんな自然の一部になれた感覚が、たまらなく嬉しかった。
原生的な自然の中にいると想う事がある。広大な森林にオオカミの遠吠えが響き渡り、河川や湖沼でカワウソが魚を追って泳いでいたら、どれだけ多様な物語が繰り広げられていたのだろうか。もし、150年前の北海道の自然を垣間見る事ができるなら、その世界を一度だけでも覗いてみたいと、夢の中にまで出てくることがある。
これまで多くの生き物たちと出合い、かけがえのない瞬間を目の当たりにしてきた。 その健気な姿から感動と勇気をもらい、そして、そこから学ぶことも多くあった。私自身の世界観も少しずつ変化を続け、この先も変わっていく事だろう。
粉雪が舞う大雪山の麓より – 上田 大作