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巡る命 シロザケ

 微かに呼吸をしながら水中で寄り添い、同じ姿で死を待つ雌雄のシロザケを、ただ、ただ美しいと感じた。銀色に輝いていた装いは、色褪せボロボロになり、腐りはじめているが、その顔には生を全うした安堵の表情が垣間見れる。彼らは川底に無数に転がる卵を見守りながら、ゆっくりと呼吸を止めた。

 息絶えたサケの命は、多くの命の糧となり、巡り巡って雪解けの川底で誕生した稚魚たちの栄養素となる。それを糧に、また新たな彼らの長い旅がはじまる。
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