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氷に閉ざされた牡鹿

 1頭の牡鹿が凍結した湖に閉ざされていた。立派な角とむき出しになった肋骨が、氷上にさらされている。その状況から、息絶えてから1週間は過ぎていると思われた。ここは水深が浅い水辺で、薄氷を踏み抜いて落水するような所ではなかった。老衰なのか、この寒さに負けたのか、それとも猟師の手負いを受け、ここで息絶えたのかはわからない。

 凍った肉を目当てに、昼間は海鷲が現れ、夕暮れ時にはキタキツネが姿を見せた。夜が深まり星が瞬くと、毛並みの悪い年老いたエゾタヌキがその肉にありついた。
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