捕食者にとって自分のもつ能力や経験を最大限に引き出し、その真価を発揮するのは狩の時だろう。猛禽類の仲間では、飛翔速度を進化させたハヤブサ、ホバリングをしながら屈折する水面に映る魚との距離感を測り、ダイビングの能力を高めたミサゴなど、優れたハンターが多くいます。森のハンター、エゾフクロウの特徴は、羽音を立てない細かい毛で覆われた翼、パラボラアンテナのような顔盤で微かな音を集音し、ネズミとの距離感を測る能力が優れています。林床を見下ろし顔を小刻みに動かす仕草は、キタキツネが雪の中のネズミを探す時に見せる動きとそっくりです。
この日、エゾフクロウは高確率で狩りに成功していましたが、雨や風が強い日は、その能力が十分に発揮できずに狩りに失敗する回数が多く、諦めることが多くありました。
生き物がもつ魅力は多彩にありますが、それぞれがもつ能力が集約され、それが垣間見れる狩りの瞬間に惹かれます。生き物の秘められた新たな能力を発見すると、そこに内包する美しさを強く感じます。