HOME > BLOG >

コエゾゼミの羽化

 エゾハルゼミの声が森から消えゆくなか、入れ代わるように地中から這い出てきたコエゾゼミの幼虫が仲間と競うようにトドマツの幹を上っていく。多くの個体は幹の高さ2~3メートル付近かその周辺の枝先まで進み、羽化の準備にはいる。モゾモゾと動く足が止まってから、しばらくすると背中が割れ、神々しいほどに美しい淡い緑が少しずつ現れた。全身が殻から抜け出て、体を起こしながらくるまったシワシワの羽を伸ばしていく。

 羽は体液を翅脈に流しながら形成するらしい。この一連のプロセスを知ると、より一層目の前の光景が神秘的に見えてくる。

 コエゾゼミの羽化は、鳥の気配も少なくなり静まりかけていた盛夏の森を彩る一大スペクタクル。今日もどこかの森で密やかに羽を得た彼らの声が響きわたっているのだろう。
Right-clicking is invalid.