DAISAKU-UEDA Wildlife Photographer

News

« Prev
Current #2023

システム障害によるサイト表示不具合のお知らせ

6月30日に発生したシステム障害により、最新のPHOTOギャラリーとお問い合わせがご利用できない状態となっております。
ご覧いただいている皆様にはご不便をお掛けしますが、復旧をお待ちください。どうぞよろしくお願い申し上げます。

日一日とにぎわう森

 日一日と森が賑やかになっていくのが分かります。 シジュウカラをはじめとするカラ類に、ミソサザイ、 アカゲラやミヤマカケス等が待望の春を喜んでいるように活発に動 いています。その様子が気になるのか、 エゾフクロウの雌雄が覗き込むように、じっと見つめていました。 来月の下旬には子育てに追われ、 夜の森を飛び回っているのでしょう。

解氷すすむ湖沼 コハクチョウ

 解氷が進む湖沼に、 南から渡って来た白鳥たちが羽を休めに集まっています。 その群れは、日に日に大きくなり、賑やかになってきました。 夜間はキタキツネ等の天敵から身を守りやすい湖沼で過ごし、 日が昇り気温が上がると、 落ち穂を目当てに田畑へと飛び立ちます。 その行動を数日間繰り返し、 繁殖地のシベリアを目指して旅立ちます。

旅立ちと新たな始まり オオワシ

 連日、南風が吹き続けています。 この風でオホーツク海の流氷は遥か水平線へと離れ、 このまま海明けとなりそうです。すっかり雪解けた田畑には、 多くの白鳥やヒシクイ等の雁の仲間が南から次々と北上し、 姿を見せています。季節は駆け足で進み、 春の息吹が日々増しています。今季の流氷は、 大きな低気圧が北上しなかった事もあって、 荒波に揉まれる事なく白く綺麗な姿を保ち続けていました。

 オオワシたちも繁殖の為に北帰行を始め、 成鳥の姿もめっきり少なくなりました。春は、 生き物たちにとっても旅立ち、そして新たな始まりの季節です。

氷原の海鷲

 薄明から海鷲たちが、 観光船やスケソウダラ漁の漁船の周囲に群がっています。 世界的に見ても、これだけの数のオオワシを観察出来る海域は、 他に類を見ないでしょう。流氷に覆われ、 湖のように穏やかになった海面と流氷の色彩が、 太陽が昇ると同時に刻一刻と変化し、 淡く美しい世界を見せてくれました。

根室海峡の流氷群

春の訪れを知らせる雨が、 雪を勢い良く解かし地肌が多く目につくようになってきました。 間もなく福寿草が、山野に黄色い花を咲かせるでしょう。 これまで長い長い冬の季節をフィールドで過ごして来ましたが、 今季は冬の訪れが遅かったせいもあってか、 あっという間に終わったように感じられます。四季の移ろいにも、 年毎に変化を感じます。名残惜しく過ぎ行く冬の光景の終わりに出合った流氷の写真を、数回にわたってご紹介したいと思います。

微笑ましい光景 エゾシカ

 山域に生息するエゾシカの一群が、 雪を掘り起こして笹を夢中になって食べていました。 掘り起こした深さは、50センチほどでしょうか。 これほど深く掘り起こすには、 エゾシカの小さな肢では大変な体力が必要です。 まだまだ力の弱い仔鹿は、 大きな雄ジカの後について申し訳なさそうに食んでいます。 成獣同士では餌場を保持するため、 小競り合いをする事が多いのですが、 その様な仕草は一度も見られませんでした。 まだ雪深く厳しい世界ではありますが、 ほのぼのとした光景に心温まる思いになりました。

冬のおわり エゾシカ

 夕方になるとエゾシカが、 山麓の森からダケカンバの若い枝や笹を求めて稜線付近に姿を見せ ます。雪が深い為、先頭のエゾシカは白い息を吐きながら、 休み休み登り、その後を少群が続きます。 一度ラッセルをして道を踏み固めてしまえば歩きやすいのでしょう が、大雪が降る度にその行動の繰り返しです。エゾシカにとって、 そんな過酷で長かった季節も終わりに近づいています。

山の狐

 一昨日から生暖かい南からの風が吹いています。 先月までの肌を刺すような強い北風は、日に日に弱まり、 春の気配が増す今日この頃です。そんななか、気持ち良さそうに、 ぐっすりと眠るキタキツネに出合いました。 長い極寒期から身を守ってくれたフカフカの冬毛が、 鼓動に合わせて上下に動いています。山のキツネの冬毛は、 浜のキツネよりも毛艶の良い黄金色の毛を纏っているように感しら れます。もう10年以上も前の話になります。 古老の猟師から聞いた「浜のキツネの毛皮より、 山のキツネの毛皮の方が重宝される」と、 そんな話をすやすやと眠る美しい冬毛を纏ったキタキツネを見つめながら 回想していました。

足跡の主 キタキツネ

 写真のキタキツネは、先日の足跡の主です。 よほど疲れていたのか、此方の気配に気づいても、 移動しようとはしません。時折カラスの鳴き声に反応し、 耳をその方向へ小刻みに動かしていますが、体は丸めたままです。 夜通し食べ物を求めて歩き疲れたのか、 それともパートナー探しにくたびれたのか判りませんが、 山腹のこの場所に2時間ほど留まっていました。それにしても、 1月と比べ過ごしやすくなってきました。北海道の春も、 そう遠くはないようです。

シュプール(痕跡) キタキツネ

 森林限界付近に位置する深雪に埋もれたハイマツ帯から、 亜高山帯の針葉樹林へとキタキツネのシュプール(痕跡) が蛇行しながら山裾へと伸びています。 エゾユキウサギのシュプールと交差しながら伸びるラインに、 夜通しかけて執拗に追跡したキタキツネの姿を想像します。 これまで多くの場所で、 この両者が繰り広げる命の攻防の痕跡を観察して来ましたが、 その姿を目の当たりにした事はありません。いつか、 その光景を観察出来ればと思いながら、 シュプールを辿って雪原を歩いています。

恋の季節 キタキツネ

 恋の季節を迎えたキタキツネを雪原で頻繁に見かけるようになって きました。雌雄で戯れる姿や、 隙を見てそこに割り込もうとする若い雄のキツネの姿、 昼夜通して極寒の雪原で密やかに命を繋ぐドラマが繰り広げられて います。 この日タイミング良く、キタキツネの繁殖行動を確認する事が出来ま した。4月上旬には新たな命が、雪解け進む森の中で誕生します。

彩り エゾシカ

 お昼前から雪がふわふわと舞い降り、 見る見るうちに木々を白一色に染めていきます。そんななか、 恋の季節を迎えたキタキツネの雌雄が、 戯れながら目の前を駆け抜け、 そのまま雪で霞む地平線の彼方へと消えて行きました。 やがて雪が止み陽光が差すと、景色は一変します。 白一色になった雪原に、 エゾシカの一群が植物を求めて森から現れたのです。 生き物たちの存在が、目の前の景色に、 また一つ彩りを添えてくれました。

多彩な朝 オオワシ

 冬ほど気象状況に神経を使う季節はありません。毎朝、 どこで日の出を迎えるか、 数日前から気象予報を見ながら考えます。 一定の気象条件を満たさないと、 出会えない冬の美しい自然現象は幾つもあります。今季、 道東エリアは湿度が低く、霧氷やサンピラー、 ダイヤモンドダスト等の出現が少なく、 まだ圧倒されるような光景に出会えていません。それでも毎朝、 目の前に広がる厳寒の世界に、 生き物たちの存在を感じたくて双眼鏡を覗いています。この朝、 雲間から差す柔らかい光が、淡い黄金色の世界を描き出し、遠方の樹上に2羽のオオワシが静かに佇んでいました。

「Earth Walker」BSフジ ― 生き物たちの声を聴く ― に出演致します。

 2月12日(日)18:00~19:55に放送されます「 Earth Walker」BSフジ  ― 生き物たちの声を聴く ― に出演します。皆様、是非ご覧下さい。
 
 これまで北海道の山や森のなかで出会った多くのヒグマたち、 その素顔や生態を映像や写真とともに、僕自身が見つめ感じてきたヒグマをはじめとする生き物たちへの思いをお話しさせていただきました。
 
 地球上の人と生き物たち、お互いバランスを保ちながら、より良い世界になる事を願うメッセージが込められた素晴らしい番 組です。「Earth Walker」 のような番組が多くの皆様の元に届く事を心より願っております。
 
 

氷海の影響 ハシボソガラス

 オホーツク海が流氷で覆い尽くされると、 海沿いから内陸部にわたって朝晩の冷え込みが一段と強まります。 今朝の気温は氷点下24度。今季一番の寒い朝を迎えました。 そんな極寒の世界で、 二羽のカラスが朝暘を浴びて静かに佇んでいました。 何時も元気なカラスですが、今朝はさすがに動きが鈍く、 寒さをやり過ごしているように感じられました。

厳寒に生きる命の痕跡 エゾシカ

 雪深い湖畔沿いを進むと、 痛々しいヤナギの幼木が点在していました。 その先の彼方に見える黒い点を双眼鏡で覗くと、 エゾシカが群れてヤナギの木肌を採食しています。冬の季節、 小雪地帯に生息するエゾシカは、 日中森の中で休んでいる姿を多く見ますが、 多雪地帯では昼夜問わず食べ続けています。それは雪に埋もれ、 食べ物が極めて少ない事を物語っています。 高地の多雪地帯に生息するエゾシカの冬毛は、 小雪地帯のエゾシカと比べ、 黒々とした深い獣毛に覆われているように感じます。 生息エリアによって、各々の環境に順応し、 命を繋いでいるのだと思われます。

雪深い森 エゾシカ

 北海道内陸部に位置する多雪エリアへと移動してきました。 湖が結氷し雪原へと変貌した氷上を、 スノーシューを履いて上流域を目指し遡行します。 雪を踏む音以外は、何も聴こえてこない静寂な空間に包まれ、 一歩一歩踏み進む毎に心地好くなってくる感覚が芽生えてきます。 時折立ち止まり、周囲の地形を確認しながら、 白一色の世界のなかで自分の位置を把握します。 3kmほど進んだ頃でしょうか、 湖岸に雪の重みや暴風で折れた白樺の小枝を食べる一頭の牡鹿に出 合いました。立派な角を持っていますが、体は痩せ、 その動きから力無いように感じられます。その後、 約2時間かけて上流域に辿り着きましたが、 川全体が深い雪に覆われ、せせらぎの音も聴こえてきません。 秋まで賑やかに飛び交っていたヤマセミやカワガラスの気配は、 微塵も感じられませんでした。

三寒四温 エゾフクロウ

 早朝は氷点下16度近くまで冷え込みますが、 お昼近くになると風さえ無ければ比較的過ごしやすい日が続いてい ます。そんな穏やかな日、 森のなかで気持ち良さそうな表情で眠るエゾフクロウに出合いまし た。時折、樹冠を騒ぎながら飛び交うカラスの小群を警戒し、 樹洞の中に飛び込みますが、 10分も経たないうちに表に出てきます。 フクロウにとっても厳冬の日差しは、 貴重で有難いものなのでしょう。全身で陽光を浴び、 夕暮れまで静かに佇んでいました。

沈黙のミソサザイ フロストフラワー

 厳寒期の美しい光景は、 目の前に広がる雄大な自然だけではありません。 足下には無数のフロストフラワーが一晩かけて鳥の羽根のように成長を続け、繊細な霜の結晶 を見せてくれています。 そんな厳寒の世界に体長10cmほどのミソサザイが時折姿を見せるので すが、 何時もの賑やかな囀ずりを一度も聴く事はありませんでした。 雪の重みで倒れたヨシの茂みで、 じっと寒さを耐え凌いでいるのでしょう。 ミソサザイの美しい囀ずりが聴こえてくるまで、 まだもう少し月日がかかりそうです。

カワセミの越冬

 気嵐が漂う氷点下23度の朝、 モノクロームの世界に一羽のカワセミが飛来し、 美しい翡翠色を添えてくれました。極寒で無機質だった世界が、 小さな命の存在でそれまでとは違う温もりのある景色に感じられま す。南国色の濃い体長15センチほどの小さな命が、 何時からこの土地で越冬を始めたのかは判りませんが、 過酷な環境に負けず力強く命を繋げ生きています。 この極寒地で初めて越冬したカワセミに畏敬の念を抱き、 なぜこの地で越冬する事を選択したのか不思議な思いが膨らみ、その理由を想像していまし た。

警戒の理由 アオサギ

 氷点下20℃まで連日気温が下がり、 道内は厳冬のピークを迎えています。先日紹介したアオサギが、 風雪紋で描かれた氷上に降り立ち、入念に羽繕いをしています。 その上空を天敵のオジロワシやオオワシが飛翔する度、 首と脚を長く伸ばし、 姿が見えなくなるまで小刻みに頭の角度を変えながら、 その姿を追っていました。数年前の初夏、 オジロワシの雛が待つ巣巣木に、 アオサギの雛を捕え持ち帰った精悍な親鳥の姿を思い出します。 その平然としたオジロワシの様子から、 頻繁にアオサギの雛を捕えている様に感じました。 このアオサギは、上空を飛翔するトンビには全く警戒しませんが、 オジロワシには強い警戒を見せていました。

アオサギの越冬

 氷点下20度まで冷え込んだ朝、 霧氷を纏った木々に朝陽が差し込み、 美しい朝の表情を見せてくれました。 そんな風景の中に一羽のアオサギが、 じっと体を丸めて寒さを耐え凌いでいます。本来、 道内で繁殖するアオサギは越冬のために本州以南へと南下するので すが、 近年道内で越冬をする個体が少しずつ増えてきているように思いま す。ただこの日も、写真に写る横枝で多くの時間を過ごし、 時折結氷が進む湖沼の水辺に降り立ちますが、 採食行動は見られません。まだまだこの先も厳寒が続きます。 この寒さに負けず、どうか命を繋いで欲しいと願うばかりです。

月光浴 カワアイサ

 満月の柔らかい光が白銀の世界を照らし、 真夜中でも辺りの景観が浮かび上がっています。 風も無く穏やかな夜だったので、 何時もより少し早い時間にフィールドまで車を走らせました。 穏やかといっても温度計は、氷点下12度を指しています。 そんななか、黄金色に輝く鏡面のような水面に、 カワアイサの小群が波紋を静かに描いていました。

結氷する水辺 アメリカミンク

 日に日に結氷が進んでいる湖沼の水辺に、 アメリカミンクが姿を見せました。 氷上を素早く歩きながら魚影を追いかけ、 潜水して魚を捕らえています。 アメリカミンクは在来種を脅かす存在ではありますが、 故郷から遠く離れた北海道の地で逞しく生きています。

厳寒の朝 エゾシカ

 きらきらと星が瞬く長い夜の間に、 肌を刺すような強烈な冷気が大地を覆い尽くしていきます。 多くの生き物たちは、 じっと身を潜めて朝暘の温もりを待ちわびているのでしょう。

 そんな極寒の朝、 魔法をかけたかのような光景が柔らかい陽光とともに現れました。 日の出と同時に力強いアカゲラの鳴き声が冷気を伝って響き渡り、 エゾシカの小群が霧氷を纏った原野の奥へと移動して行きます。 目の前に広がる光景は特別なものではなく、 連綿と続いてきた厳寒に逞しく生きる命の光景です。

謹賀新年

 昨年は当ホームページを御高覧いただき、有り難うございました。 近年、動画の撮影に多くの時間を費やしていますので、 写真を紹介する機会が少なくなってきておりますが、本年も可能な限り季節感のある生き物たちの表情をお伝え出来れば と思っております。どうぞ宜しくお願い致します。 皆様にとって、平穏で健やかな一年になります事をお祈り申し上げます。

 

« Prev
Current #2023