DAISAKU-UEDA Wildlife Photographer

Notsuke-fūren Prefectural Natural Park

冬、湖が白い大地に変貌すると冬の季節は白と黒だけの無表情の世界に一見感じられるが、足を奥地まで踏み入れると汽水湖である風連湖の湖口付近は潮流により多様に表情を変える。水と海水と氷は輪廻を繰り返し、美しい光景を見せる。3月に入ると根室海峡に入った流氷が北風と共に次々と押し寄せ湖口を埋め尽くし、鈍い金属音を奏でながらゆっくりと湖上に競り上がり山脈となる。自然の強いエネルギーが創り出す多様な造形はまさに異空の世界。

氷上のテントの中でシマフクロウの鳴き交わす声を聴きながら休んでいると轟音と共に大きな縦揺れを感じ目を覚ます。収縮と膨張、潮流のエネルギーで日に幾度か大きな歪が爆発する。氷はゆっくり呼吸しているかのように少しずつ動き、意思があるかのように移動する。この世のあらゆるものに霊性が宿り、存在することに意味があるように、また意味がある。

そして大切なことは無数の生命がこの湖の恩恵を受けて生きていること。

x

Notsuke-fūren Prefectural Natural Park