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月夜の攻防 ヒメマス

 エゾフクロウが囁く森のなかを満月が煌々と照らし、やがて穏やかな朝を迎えた。湖岸に落ち葉がはらはらと舞い、日に日に積もり秋の彩りも寂しくなってきた。ふと水辺を見つめ歩いていると、産卵のために浅瀬に集まってきたヒメマスの残骸が水際に残っていた。昨日は気づかなかったので、夜中に捕食者に襲われたものに違いない。その夜、カメラを設置すると、月明かりのなかに1羽のアオサギの姿が確認できた。月夜のなかでも、人知れず命の攻防が繰り広げられていることを、改めて認識する1日となった。

 晩秋の湖畔はヒメマスの婚姻色で秋色に染まり、密やかに恋の訪れを迎えていた。

 
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