7月上旬、砂利が敷かれた地面の上で抱卵しているコチドリと出合った。手のひらほどの窪みに3個の卵が産み落とされていた。卵は完全に地面と同化しており、何度もその卵座を見失い苦労する。時期が時期だけに1度目の抱卵は失敗し、2度目のものと思われる。抱卵は雌雄が、平均して約30分間隔で交代している。しばらく時間が空くと相手を甲高い鳴き声で呼び、抱卵の交代を促す。卵を抱く親鳥の姿も地面と同化し、天敵であるカラスやキツネも全く気づいていない様子だった。
親鳥は、巣に近づく度に擬傷行動を見せた。こうしたストレスを与え続けると、抱卵を放棄する可能性や本来の行動も観察できないため、遠隔操作で孵化までの生態を追うことにした。