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「Photo Gallery」を更新しました

 「BEAR LAND」は大雪山の山岳地帯や、知床の森や奥深い川、海岸で出合ったヒグマの写真で構成されています。

  2006年の秋に知床でヒグマと初めて出合った時、こんなに大きな生き物が身近な自然に生きている事に強い衝撃と感動を覚え、魅了されました。当初は知床の川で鮭を捕るヒグマの荒々しく躍動感のある姿を追い続けていました。子供の頃に見た野生動物のTV番組や写真の影響から、それがヒグマたちの姿だと思っていたのです。
 しかし、2009年に大雪山の親子グマに出合い、ヒグマのイメージは大きく変わります。彼らの生きる姿を日々観察するなかで、力強く荒々しい森の王者のイメージを覆す愛嬌のある仕草や臆病で用心深い行動、そして大自然のなかで慎ましく生きる姿を目の当たりにし、更に魅せられていきます。観察を続けるうちに、昼間に大胆にサケを追う姿は、北海道に生息する極一部のヒグマに限られた行動である事に気付きました。

 人目を避け、森の中で大きな体を隠すように移動し、繊細で理性的な行動をとるヒグマの姿こそ、本来伝えるべき姿だと思うようになりました。

 ヒグマの棲む森を歩き始めた頃、彼らに会いたい思いと不安が入り交じった心境で日々過ごしていました。しかし、彼らを知れば知るほど恐怖感は薄れていき、それが慈しみの感情へと変わっていきました。これまでヒグマの瞳から猛々しさを感じた事はありません。それとは真逆の優しさや弱さ、時に憂いさえも感じる事があります。近年置かれているヒグマたちの現状が、私にそう感じさせるのかもしれません。

 想像は不安や恐怖だけを生みだします。ヒグマ本来の姿を知ることこそが、本当の意味での共生に繋がると信じています。

 かけがえのない生き物たちの世界が、時を超えて遺されることを願っています。私たち人間だけの地球ではないのだから…

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