日一日と強まる陽光が湖沼の解氷を勢い良く進め、水鳥が羽を休めに次々と飛来しています。
樹上からその様子を鋭い眼光で窺っているものがいます。オオワシです。
向かい風が吹き始めました。その風を受け宙に浮くように飛び立つと、一気に大空へと上昇します。その大きな影に、いち早く気付いたオナガガモの一群は、鋭い羽音を立て水辺から慌てて飛び立ちました。少し離れた白鳥の小群は、全く動じずに休んでいます。
しかし、その静寂な時間は長くは続きません。
風に乗って一気に急降下したオオワシが、白鳥の背後から長い首を目掛けて襲いかかったのです。周りの白鳥は、突然の出来事にバタバタと羽を広げて慌てふためいています。
襲われた白鳥は、鋭い鉤爪で掴まれ引きずられています。その騒ぎを察した他の海鷲たちが、次々と集まり必死に抵抗する白鳥に襲いかかりました。
やがて、真っ白な羽毛が春の風に舞い始めました。