DAISAKU-UEDA Wildlife Photographer

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母なる川・シロザケの遡上

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 シロザケが約4年間の北洋での回遊を終え、産卵のために生まれた知床の川へと続々と集まっている。遡上するシロザケは、これから厳しい冬を迎える動物たちにとって待ちこがれた秋の恵み。流域にはヒグマやオジロワシたちが姿を見せ待ちかまえている。今まで多くのヒグマを観察してきたが、ヒグマがサケを捕る成功率は個体によって違う。次々と職人芸のように速やかに捕る個体、追い続け水飛沫ばかりをあげて何時まで経っても捕まえられない個体と様々だ。観察していて面白いのは後者で、現在観察している個体も失敗ばかりで苦労しているようだ。時折上手く捕まえると、すぐにカラスが群がり、それを引き連れて河畔森へとサケを運び、騒々しい周囲を気にしながらも夢中になって食べている。この時期、多くのヒグマは栄養素の高いイクラだけを好んで食べ、多くの死がいを残す。それをオジロワシやキタキツネ、カラスたちがさらに森の奥へと運び、その残骸が土へと返り栄養素となって森を育んでいる。すべての生命は循環し、繋がりをもっている。

知床峠の夜明け・ダケカンバ

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 連日、知床は北西の強い風が吹き続けている。知床峠に群生するダケカンバは落葉が進み、長い年月を強風に耐え変形した白い幹が目立ちはじめてきた。知床の峰々は雪化粧し、紅葉は駆け足で山麓へと下っている。知床にも冬の足音が近づいている。

支笏湖 40㎞の舟旅

 昨晩まで吹き続けていた強風と雨は止み、深い霧が支笏湖を囲む原生林にからまりながら生き物のように漂っている。テントや食料等を2艇のカヤックに積み終えると、鮮やかな錦絵のように美しい紅葉が映る水面のなかを出艇させ、西の方角へと走らせた。湖面を滑るように進む感覚と、どこまでも流れるようにゆっくりと続く景色。自然と一体となった感覚が心地よくなっていき、徐々にそれが体を満たしていく。いつのまにか時間の感覚を失い、パドルを漕ぐ疲労も薄れていった。代わり映えしない景色が続くなかで、時折小群の水鳥が水飛沫をあげて力強い羽音とともに飛び立つ姿に魅せられる。湖畔ではカワセミが水面ぎりぎりを飛翔し、黄色に紅葉したイタヤカエデの横枝に止まると、じっと小魚を見つめている。間もなく越冬のために南へと渡るだろう。

 カヤックは順調に進み、予定より早く湖畔にテントを張ることができた。周囲の森からはカラ類やアカゲラ、アオバトの鳴き声が聞こえてくる。鳥たちの囀り以外は何も聞こえてこない。包み込まれるような静けさだ。やがて日は稜線に沈み、あたりが薄暗くなると天上に星が顔を出し始めた。しばらくすると樹冠のすき間から月が上がり、星々の輝きを少しずつ弱め、湖面を黄金色に照らし始めると、まわりを取りまく山々の輪郭がぼんやりと浮き出てきた。時折、夜の静寂に繁殖期を迎えた雄ジカの寂しげな鳴き声が森に響き渡り、身近に野生を感じる。この深い森のどこかで苔むした倒木を越えて移動するヒグマを想像しながら寝袋にもぐりこんだ。

 

稜線に生きるエゾナキウサギ

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 シベリアに張り出す氷点下30℃の寒気が大雪山の峰々を雪で包みこんだ。山麓から望む約3ヵ月ぶりの白い山容は美しく、思わず見とれて足を止めてしまうが、いざ稜線に立つと暴力的な風と窪地に吹きだまった新雪やハイマツが行く手を阻み、背負った荷物との格闘で景色を楽しむ余裕などなくなる。

 かつて根雪になる頃まで、大雪山の稜線に生息するナキウサギを観察したことがある。ナキウサギは、冬眠せずに夏から秋にかけて植物の葉などを岩の間に貯食して越冬する。個体にもよるが、山麓に生息する個体は頻繁に貯食行動を見せるが、稜線に生息する個体はその行動を観察することが少ない。特に風衝地に生息する個体の貯食行動は見たことがない。その行動が見られないのは、植生や積雪量、雪解け時期との関係性があるのではないかと推測しているが、本当のところはナキウサギに聞いてみなければ分からないだろう。

 目の前のガレ場に現れたナキウサギやシマリスを見つめながらいつも思うことがある。この小さな体のどこに、これから始まる長い冬を越すだけのエネルギーが秘められているのか不思議に思うのと同時に、生命のもつ強さを感じる。彼らにとってはあたりまえのことかもしれないが、きっと今まで神秘的な事が重なり合って命をつなげているのだと思う。そんなことを思いながら、また来年、再会できることを願ってガレ場をあとに下山の途についた。

雪の気配

 冬の星座が夜空を瞬き始めている。夜明け前、東の稜線からオリオン座が顔を出すと、間もなく星々は薄明に包まれていった。やがて太陽が昇り、冷え込んだ大気を少しずつ温め始めるとどこからともなくシマリスがガレ場に姿を現せた。もうすぐ大雪山に雪が降るのを予感しているかのように、もうこれ以上頬袋に入らないほどの種子や巣材となる枯れ草を頬張り、巣穴へと忙しく運んでいる。この短い秋に、これから始まる長い冬の備えをしているのです。あと一週間もしないうちに稜線は白で覆われ、10月中に長い眠りにつくだろう。

嵐の前の静けさ(大雪山・高根ヶ原)

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 17日の早朝、緑岳のピークに立った。風のない静かな朝だ。ラジオから九州での台風18号の大雨による被害が流れてくる。零度近い気温のせいか、いつもは忙しく動いているシマリスの姿は見かけない。ここから望む高根ヶ原、忠別岳、トムラウシ山、そしてその先の十勝岳連峰と大雪山の雄大な広がりと深さを感じる山容が続く。2009年からの5シーズン、この景色のなかで雪が山肌を纏うまで無我夢中にヒグマを追いかけた。2頭の仔熊を連れた母グマが、何度も目の前で授乳シーンを見せてくれたこと・・・。好奇心旺盛なナキウサギの幼獣が、私の手に噛みついたこと・・・。目の前に広がる景色を眺めながら、そんな多くの出合いをふと回想した。

 石狩川の源流部になるヤンベタップの沢沿いに広がる紅葉は、ウラジロナナカマドの紅はピークを終え、ダケカンバやイタヤカエデの黄色はこれから見頃を迎えるだろう。紅葉は山麓へと駆け足で下っている。

 今季の大雪山山行は、ドローンを使用して4K動画と写真での空撮が第一の目的だ。強風や乱気流が吹く山岳地域での空撮は、飛行させるタイミングを見定めることが重要になってくる。光線やアングル、飛行ルート等の地形を把握し、目まぐるしく変わる天候のなかでその機会を待つ。

*大雪山国立公園内でのドローンの飛行は上川中部森林管理署に入林承認書を申請し、上川自然保護官事務所へ連絡をした上で飛行している。

初霜

 真夜中過ぎ、シェラフに流れ込む冷気と地面から突き上げるような寒さで目を覚ました。結露したテントはパリパリに凍りついている。白雲岳南東面のガレ場から、ナキウサギの鳴き声が聞こえてくる。風の無い穏やかな夜だ。天上には、無数の星が瞬き、東の空に顔を出した三日月が緑岳の稜線を薄っすらと照らし出している。あの稜線を越えると、きっと雲海が湧いているだろう・・・。フランスパン2切れと温かいコーヒーを飲み終えると急いでザックに機材と冬用のダウンの上下を詰め込み、まだ雪渓の残る板垣新道をヘッドライトを灯けて稜線を目指した。霜が降りたチングルマやウラシマツツジ等の植物にライトが照らされ、足下がキラキラと輝いている。稜線に登り着く頃には辺りの景色が見え始め、雲海が湧いているのがわかる。東の空は刻一刻と赤く染まり、遠方に阿寒の山々や斜里岳が浮き出てきた。

 太陽が昇り、その4時間後には稜線は霧に包まれた。台風18号による天候悪化を警戒し、午後にテントを片付け、徐々に強まる風のなか下山の途についた。道中、昨日まで鮮やかな色彩を楽しませてくれた稜線の植物たちは黒褐色となり、早い冬の訪れを知らせてくれているようだ。

 

草紅葉(大雪山・白雲岳)

 大雪山の山肌を、今一際鮮やかに彩っているのがウラシマツツジの紅色。早くも稜線では草紅葉のピークを越え、植物たちは、これから冬の装いへと変わっていく。

 10日の昼時、赤岳から白雲小屋に向かう稜線で10mほどの強風と霰混じりの初雪に合った。霰を避けるように自然と俯き、足早になる。足下には、ハイマツの種子の食痕が無数に転がり、その上空をホシガラスが風にあおられながら青々としたハイマツの種子を忙しく運び貯食している。今季はハイマツから、コケモモやガンコウラン、クロマメノキの果実が鈴なりに実っている。道中、クロマメノキの黒紫色の果実を一粒だけ頂き、口いっぱいに広がる甘酸っぱい秋の香りを満喫しながら足を進めた。今年の大雪山は、冬の訪れが早くなりそうだ。

秋色(十勝岳西面のスゲの群落)

 大雪山系の紅葉が、ここ数日の寒暖差で一気に色付き始めている。

 グンと冷え込んだ日の朝、稜線で目を覚ますと周辺の景色が色濃くなったことに気づく。ウラシマツツジやチングルマ、ウラジロナナカマドなどの紅、イタヤカエデやダケカンバ、スゲ類などの黄色。秋色は日一日と増し、駆け足で山麓へと下っていく。本当に美しいと感じるのは1日か2日。今月は紅葉を追いかけて大雪山を駆け巡ることになるだろう。

 十勝岳から富良野岳に続く荒々しい稜線をアマツバメがかすめて飛び交い、ナキウサギの鳴き声が山麓から聴こえてくる。動物たちもこれから冬に向けて、短い秋を慌ただしく生きるだろう。

夏の終わり

  薄明からハクセキレイの小群がピチッ、ピチッと鳴きながら赤岩の浜を飛び交っている。日照時間も日ごとに少なくなり、知床も一雨ごとに肌寒くなってきた。 深い緑だった山肌や水面に映えるスガモの萌黄色も少しずつ色あせ始め、空気の清涼感とともに秋の気配が強まる。   約2ヶ月、赤岩で昆布漁を行なってきた漁師一家も羅臼へと昆布を運び、8月31日に密やかに最後の夏を終えた。

  赤岩を離れる前日の夕刻、まだ黄色いエゾオグルマの花が咲く知床岬の草原に一頭の雄鹿が森からゆっくりと現れた。間もなく繁殖期を迎え、静寂に包まれた闇夜に物悲しい鳴き声が夜通し響き渡るだろう。

知床赤岩 昆布漁師、最後の夏

 知床半島突端部の羅臼側に赤岩と呼ばれる地域があり、昆布の好漁場として知られている。大正の時代から夏になれば漁師が家族と共に海路で訪れ、昆布やウニ漁等を生業とし秋まで過ごした。最盛期で50軒ほどの番屋が立ち並び、多くの子供たちも「青空教室」で学びながらが手伝っていたというが、1960年代をピークに減少し、現在では2軒となった。活気のあった当時の名残は薄れ、この2軒の漁師もこの夏で赤岩を離れることを決断した。

 羅臼昆布が製品化されるまでには、約20工程を経て手間暇かけて丁寧に作り上げられていく。それは自然(太陽光や風、夜露等)の恩恵と共に作り上げていくといってもいいだろう。また「昆布は山が育てる」と言われるが、知床半島の豊かな生態系も良質な昆布を育む要因のひとつだ。漁師たちはライフラインの無いこの場所で、刻一刻と変化する空模様や風を読みながら約2ヶ月の間、無休で薄明から薄暮まで黙々と作業を進めていく。

 私は昨年から赤岩の昆布漁を手伝いながら撮影を続けている。スガモや昆布等が密生する赤岩の生態系豊かな遠浅の海の美しさと、連日のように現われるヒグマ。約2ヶ月間、密やかにここで昆布漁を生業とする家族の生活。そして、この土地から離れることを決断したが、今も去就に悩みながら生きる漁師の憂いと諦め、儚さ・・・心境をも記録として写真と4K動画に閉じ込めることが出来たらと思っている。

                                                                                                                                         

 

サクラマスの遡上

 北海道東部にある知床も連日30度ほどの夏日が続き、夏本番を迎えている。今、河川では1年のオホーツク海の回遊を終えたサクラマスが回帰している。斜里川や忠類川等の上流域を水飛沫を上げて遡上し、その光景は幾分か涼を感じることができる。高い弧を描いた太陽が深緑の樹木に遮られていた水面を燦々と照らし始めると、落差3mほどの滝を次々と遡り始めた。しかしこの滝を越えていく個体は少なく、その多くは激流に飲み込まれたり、弾き飛ばされていく。そしてその先の上流域では、エゾマツの樹上から数羽のオジロワシがその様子をじっと見つめている。

オジロワシの巣立ち

 4月下旬に孵化したオジロワシの巣立ちを、カモフラージュテントの中でその瞬間を待ち続けた。真っ白で柔らかい羽毛は硬く黒褐色の幼羽へと変わり、時折羽ばたく羽音と両翼が枝にぶつかる鈍い音は力強く、体と爪も親鳥と見劣りしない大きさに成長している。ふ化後2週間もすれば猛禽類特有の精悍な表情を見せ、早くも大空の王者の風格を醸し出していた。雛に運ぶ餌はカモ類などの水鳥が多く、時折魚を運び嘴で丁寧に細かく千切り与えていた。繁殖地によって食性は変わるが、主に水鳥と魚類。以前に大きく成長したアオサギの雛を巣に持ち帰ることも目にしたことがある。

 猛禽類の巣立ちの定義は曖昧で、キツツキ類や地上で営巣する鳥類は巣立ち後に巣に戻ることは無いが、猛禽類は巣立ち後も親鳥が運んできた食物を採餌しに、また夜には休みに帰巣することがある。今回は巣から離れ、営巣木上の横枝に止まった瞬間を巣立ちとした。

ヒグマの親子

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 エゾハルゼミの鳴く知床の森で、ヒグマの親子に出合った。この季節はヒグマの繁殖期で雄グマを避け、親子グマは採食地を転々としている。雄グマが仔グマを襲うことがあるからだ。母グマは採食中にも神経を尖らせ、時折立ち上がり鼻を突き立てている。その隣で仔グマは不安そうな表情を浮かべ、じっとしている。母グマの表情や行動を観察していれば、鬱蒼とした草地や森の中でも近くに他のクマが居るかどうか察することが出来る。この日も雄グマを察した親子グマは、寄り添うように足早に深い森の中へと静かに消えていった。その後間もなく、オオイタドリの茂みから大きな雄グマが肩を揺らしながら現れた。

深緑の森に舞う雪

 深緑の森に深々と雪が降るように綿毛が舞い下りてくる。ここ数日、ヤマナラシ(ハコヤナギ)やドロノキが綿毛を纏った種子を一斉に飛散させ林床や湖沼を覆い隠す。光に透過された綿毛を目の当たりすると雪のように美しく、季節が冬に戻ったかのように錯覚する。そんな森から、ひと際高い声で囀るキビタキに誘われるように知床の深い森に入った。

緑の回廊 (オジロワシ)

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 北海道東部にある根釧原野は広大な酪農地帯が開拓され、その多くが牧草地となっている。原生林の多くは消失し、残されているのは河川沿いの林と牧草地を囲むように防風林が東西南北に格子状に造成されている。この樹林帯はヒグマやエゾシカなどが山岳地帯から海岸地帯までを結ぶ移動路となり、またシマフクロウやオジロワシなど多様な動物たちの繁殖地としても貴重な生活圏となっている。それは生命をつなぐ緑の回廊。

 4月下旬に孵化したオジロワシのヒナも防風林ですくすく育ち、真っ白な産毛から黒々とした羽を纏い、猛禽類特有の精悍な表情が見られるようになった。来月には巣立ちし、大空を舞い始めるだろう

ミソサザイの唄

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 新緑に包まれた北の森は、多彩な鳥の囀りでにぎわっている。その中でも一際澄んだ高音で囀っているのが、日本で最も小さな鳥のひとつミソサザイ。低地の沢沿いなどの湿った林から大雪山の尾根伝いにある湖沼まで、その美しい囀りを聴くことができる。

 ミソサザイは、その美しい囀りが影響してか日本や西洋においても数多くの民話や伝説に登場し「鳥の王」と呼ばれている話が多い。アイヌの伝承では、人喰いクマの耳に飛び込んで鼓膜を破ってクマを退治した勇猛な鳥だと神様に褒められている。西洋では森の王であるイノシシと戦い、鼻の穴に飛び込んで勝利する話しなど小さな鳥が大きな動物に勝利する話は他にも多くある。体調10cmほどの小さな鳥が全身を震わせ囀る姿に古代の人も私たちも変わらずみんな感動したのだと思います。

鎮守の森

 北海道の大地は明治以降の大規模な開拓によりエゾマツやトドマツを主とする黒々とした針葉樹に、新緑から紅葉まで美しい色彩を見せてくれるミズナラやシラカンバ、イタヤカエデなどの広葉樹が混生する森を多く失った。今それらの原始的な森を見ることが出来るのは大雪山や日高山脈の山麓、阿寒や知床などと極限られたエリアだけとなった。しかしながら都市部にも開拓以降も大切に守られてきた森が残っている。それが鎮守の森。道北にある忠別川沿いにあるこの鎮守の森には、ミズナラやヤチダモ、カシワなどの大木が林冠を形成している。今、森は新緑に溢れ、エゾ山桜の花びらがひと風ごとに舞っている。ニリンソウやエンゴサクの花が咲く林床をエゾリスが駆け回り、オオルリやキビタキがこの季節を待ち望んでいたかのように賑やかに囀っている。子育て真っ最中キタキツネも出産した巣から人気の無い別の巣へと仔ギツネの引っ越しで忙しそうだ。これから北の森は多彩な生命の音色で賑わい始めるだろう。

誕生

 新緑が芽吹き始めた北海道東部の丘陵地に囲まれた小さな湿原で、2羽のタンチョウの雛が誕生した。抱卵期間は30日ほど。その間、雌雄で交代しながら強風の日も雪や雨の日もじっと2つの卵を大事に温め続けていた。

一番子の誕生から2日目に残るひとつの卵が孵化した。巣立ちはその2日後。今は葦で作られた巣から離れ、「コロロ」とのどを鳴らす親鳥の後を必死におぼつかない足取りでついて行き、小魚やエゾアカガエルを食べている。雛鳥たちはこれから秋までたくさんの愛情を受けて、その先を生きていく。

写真展開催のお知らせ


写真展「NATURE CRAZYS」ーライフスケープ編集長が推す”常識やぶり”な若き写真家たちーが富士フィルムフォトサロン名古屋会場で5月5日(金)から5月11日(木)まで開催されます。会場内でフォトブックとオリジナルプリント(サイン入り)、写真集も販売されておりますので、ぜひお立ち寄りください。

春麗ら (エゾタヌキ・知床)

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 早朝から生暖かい南の風が吹いている。雪解けが一気に進んでいる知床の山麓へと流量が増した沢伝いに入った。まだ林床に残雪はあるが、陽当たりの良い所から福寿草の黄色い花が咲き始めている。沢沿いにはフキノトウが顔を出し、その脇をカワガラスが忙しく上流から下流へと行き来している。冬のピーンと張りつめていた緊張感は緩み、穏やかでやわらかい空気が森を包み込んでいるように感じられる。今この森でそう感じているのは私だけではないようだ。一頭のエゾタヌキが陽当たりの良いミズナラの大木の下ですやすやと眠っている。本来暗い森の中を好み、ひっそりと暮らすエゾタヌキだが、とてもこの場所が気にいったのだろう。10mまで近づいても起きる気配はなく腹部を膨らませ呼吸し熟睡している。四肢を伸ばしたその無防備な寝姿に思わず笑みを浮かべる。しばらくすると右目を開けゆっくりと立ち上がり、のたのたとよろめきながら深い森の中へと消えていった。「タヌキの寝入り」と云う言葉があるが天敵から身を守るために擬死(死んだふり)をする事で捕食者を油断させ逃避する為にとる行動で、今回の出合いはそれとは違うが貴重な時間を共有できた。

 仔沢山で知られるエゾタヌキは、あと一月ほどでこの深い森のどこかで新しい生命を迎え、育んでいくだろう。

写真展のお知らせ

写真展「NATURE CRAZYS」 ネイチャー・クレイジーズ   ライフスケープ編集長が推す"常識やぶり"な若き写真家たち

      上田大作 ・ 佐藤岳彦 ・ 高久至 ・ 増田弓弦 

 

 2017年5月5日(金)~5月11日(木) 富士フィルムフォトサロン名古屋で写真展を開催します。

  風連湖ー氷上に生きる生命

北海道東部にある風蓮湖では毎年1月になると湖が結氷し、伝統漁の「氷下待ち網」が行われます。漁が始まると氷上では漁師と動物(オオワシやオジロワシ、キタキツネなど)たちの多様な物語が繰り広げられます。多彩な表情を見せる美しい氷上の景色と併せて展示していますので、良かったら会場までお越しください。

 

同時に「本屋ライフスケープ」も開催されます。4人による限定版フォトブック、雑誌「ライフスケープ」のバックナンバーやネイチャー系写真集などを集めたミニ本屋が期間中会場の一角に登場します。是非お立ち寄りください。

 

  会場富士フィルムフォトサロン 名古屋  入場料:無料  企画 (株)風景写真出版   協力 富士フィルム株式会社 

 

豊穣の海

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 肌を刺すような風はゆるみ、きらきらとした陽光が日一日と雪解けを進めていく。青々としたフキノトウが顔を出し、オオワシやオオハクチョウは北帰行を始め、代わりにアオサギやタンチョウが繁殖のために越冬地から戻ってきた。季節は春へと移ろいでいるが、4月に入っても流氷群は根室海峡や道東太平洋海域を風まかせに漂っている。そんな氷海の海でラッコがホタテやつぶ貝などを採餌しながら優雅に泳いでいた。美食家で大食漢として知られるラッコは、1日に約10kgの食料が必要だと言われている。皮下脂肪が少ないため大量のエネルギーと上質な体毛で寒冷な海で生命を維持している。採食したり眠ったりと愛嬌のある表情を見せるラッコも、時折2頭が牙をむき出して激しくじゃれ合ったりとイタチ科の気性の荒い性質も見せる。

 毛皮を目的とした乱獲により減少したラッコが再び北海道の近海で見られるようになったことが、生態系の回復と豊かさを物語っている。いつまでもラッコの泳ぐ姿が見られる海であり続けて欲しいと願っている。

耳を澄ませば

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​ 数日間吹き続いた北風が止んだ。知床連山の上空に赤く染まった雲が闇に包まれ始め、星が瞬き始めた。闇夜に慣れ始めた視覚には、真っ白な流氷が国後島や、標津、羅臼の町の灯りに照らされ、遥か彼方まで見える。そんな野付半島の夜空にレンズを向けた。これまで多くの場所で夜空にレンズを向けてきたが、撮影の時間、闇夜では視覚からの情報が途絶えるため、聴覚が過敏になる。この夜も耳を澄ますと、多彩な音が聴こえてきた。流氷の彼方からはコオリガモなどのカモ類の鳴き声が、氷塊の軋む鈍い音との合間に微かに流れてくる。海岸線からはキタキツネの甲高く寂しげな声。雪原には一歩、一歩雪に埋まりながら歩くエゾシカの足音が聴こえてくる。多彩な音を頼りに動物たちの息づかいが想像できる星の撮影は、私にとって至福の時間。

流氷山脈

 根室海峡に強い北風が吹き続けている。知床半島と国後島に挟まれた流氷群は風によって押し寄せられ、海岸沿いの浅瀬に氷塊が積み重なり氷丘が連なっている。近年見られない光景が一夜にして形成され、計り知れない自然のエネルギーを目の当たりにすると、ただただ圧倒されるばかりである。

 早朝、氷原をキタキツネが食物を探しているのか、それとも山のように積み重なった流氷を歓迎し喜んでいるのか分からないが早足で歩いている。そんななか、轟音と共に遠方の氷丘が崩れ落ちた。キタキツネは轟音と振動に驚き、慌てて陸地へと戻ると、またすぐに何もなかったかのように氷原を歩き始めた。流氷明けまでは、もうしばらく先だろう。小さな冬の物語は続いていく。

春の気配

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 北東の風が吹き、国後島に接岸していた流氷群の一部が2年ぶりに野付半島に接岸した。流氷群が根室海峡を漂い南下し始めると、もう春は近い。3月1日、タンチョウの雌雄が繁殖地である風蓮湖に戻り、求愛のダンスを見せてくれた。日一日と解氷する湖に数百のオオハクチョウの群れが続々と集まり、北帰行に備えて羽を休めている。

 厳冬を越えた野付半島のエゾ鹿たちは、一回り体が小さくなり、どことなく力ないように感じる。海岸沿いをよたよた歩き、打ち上がった海草などを食べている。その様子からエゾ鹿にとって厳冬を越すことの厳しさが、ひしひしと伝わってくる。植物が顔を出す雪解けまでは、あともう少し。春はもうそこまでやってきている。

風の連なる湖

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 深夜から明け方にかけて20センチほど降り積もった雪が湖岸の景色を白一色へと変え、樹木に付着した雪がひと風ごとに舞い落ちていく。日一日と春へと向かっていた景色がまた冬景色へと戻った。風蓮湖の氷上に出ると、絶え間なく烈風が吹き、徐々に強さを増していく。氷下待ち網漁を生業とする漁師たちは、地吹雪が吹き抜けるなか漁場に吹きだまった雪をスコップで除雪する作業に追われている。オオセグロカモメが地吹雪で体に積もった雪を時折振るい落とし、その様子をじっと見つめている。

老鷲(おいわし)

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 風蓮湖の湖岸にある一本の立ち枯れした老木に、日の出とともに頭部が真っ白なオジロワシが大爪で魚をつかみ舞いおりた。つかんでいる魚は、薄明から漁師たちが氷下待ち網漁の水揚げ後に選別され氷上に放置された雑魚だ。器用に大きな嘴で喰いちぎると、嘴を天高く向けて丸呑みにし、あっという間に食べ終えた。毎年、風蓮湖には多くの海鷲が越冬のためにオホーツク海北西部沿岸やサハリンから渡ってくるが、その渡りの群れから距離をおいて、樹上や氷上で寄り添うオジロワシの雌雄がいることに気づく。今朝、老木に舞いおりたオジロワシも、その凛とした風貌や行動からこの湖で長年にわたり繁殖している個体とわかる。この時期になると営巣木の周辺でテリトリーを誇示し、巣材を運び補修を始めるようになる。今月中には氷上や樹上で繁殖行動を見せ、3月には営巣木で抱卵を始める。5月に新しい生命が誕生するだろう。

 

 

 

 

 

 

風の記憶 

 北海道東部に位置する風蓮湖の氷上は、数日間、暴風が吹き荒れていたが夕暮れどきには強い北西の風がおさまりつつあった。暴風に運ばれた細雪が南側の湖畔林に吹き溜まり、壁のようになっている。1月下旬とは違う景色が目の前に広がっていた。雪原と化した風蓮湖には美しいシュカブラ(雪紋)が遥か彼方まで刻まれ、斜光に照らされた光景は他の惑星に立っているかのような感覚におちいる。風によって流れるように六花を運び多様な紋様を刻一刻と変えていく。太陽が沈むまで無数にあるシュカブラのなかから、より美しく力強い雪紋を探しまわったが、結局出合うことはできなかった。

 冬山に刻まれた荒々しいシュカブラも美しく魅かれるが、広大な風蓮湖一面に暴風雪が過ぎると突然現れるシュカブラもまた魅力的だ。風そのものを写し撮ることはできないが雪面に残る「風の記憶」をこれからも大切に記録していきたいと思う。

潮汐の造形

 氷点下16℃の風のない朝、海面に張った氷がギィー、ギィーとガラスが擦れるような音を奏でている。薄明のなか徐々に氷のディティ-ルが見え始めた。暦は中潮で月齢6、95の上弦の月。真夜中から明け方にかけてゆっくりと海面が上昇する。それに伴い水面を凍結させながら薄氷を積み重ねてできた自然現象。それは繊細なガラス細工のような自然の造形美。薄氷に陽光が透過しはじめると少しずつ気泡が弾けるような音を立てながら、潮位が上昇する海のなかに消えていった。

 

流氷群

 夜半過ぎに北海道東部に位置する屈斜路湖の湖畔に雪とともに強い北西の風が吹き始めた。ここ数日の海氷図から海氷が接岸すると確信し、夜が明けると同時に車を走らせオホーツク海を目指した。前日の予報では午後からの降雪だと伝えていたが、想定外の雪と地吹雪で走行は困難となり神経をとがらせる。野上峠を越え小清水の町に入る頃には雲間から青空が見えはじめた。しかし風が止む気配はなく強まるばかり。冬には雪原へと変わる農地に挟まれた道路は時折ホワイトアウトとなり、視界を真っ白な世界に奪われながらウトロへと向かった。

 約10年、北海道の四季を見つめてきたが、毎年新鮮な思いで待ちわびるいくつかの出合いがある。この時期にオホーツク海のずっと北からやってくる流氷群もそのひとつ。強風の朝、目を覚ますと海岸線を埋めつくしたかと思うと、午後には離岸し水平線の彼方で白い線となっていることもある。生き物のようにとらえようのない存在がまた魅力なのだろう。11月オホーツク海北西部で生まれた海氷は、風とともに漂流し長い旅を続け、豊かな生態系を育んでいく。知床半島を回り込み、根室海峡を漂いながら南下し根室半島に接岸する頃には、もう春はそこまでやってきている。これから流氷が多くの栄養素と多様な物語を運んでくれることだろう。流氷は私にとっても、北の海からの大きな、大きな贈り物。

氷海に生きる海馬(トド)

 夜明け前、知床、羅臼に深々と雪が降り始めた。知床連山の稜線から海岸まで平地が見られない急峻な半島の天候にはいつも悩まされ期待を裏切られることが多い。まだ北西の風とうねりが残る根室海峡へと野田氏(トド観察ガイド)が操船するチャータ-船でトドの群れを探すため出港した。途中薄明りに照らされた小さな蓮葉氷が小波に揺られて漂っている。10分ほど船を走らせると、風に乗ってグゥオー、グゥオーと唸るような鈍い鳴き声が波音に交じって流れてくる。その方向に目を凝らすと、遠方に海面から頭を出した数十頭のトドが浮き沈みしながらこちらを見つめている。うねりのあるなか、船頭の巧みな操船でゆっくり近寄る。50m、30mと近寄っていくが逃げ惑う様子もなく、群れで悠然と泳ぎだした。しばらくすると群れから離れた1トンほどの巨体をもつトドが船底を抜け、突然目の前に現れダイブした。水しぶきが顔にかかりそうな近距離だ。その圧倒的な生命力にシャッターを押すことも出来ず、ただ目の前で起きた光景に言葉さえ失った。はるばる千島中部から海游してきたトドと一瞬ではあるが心が通ったように思えた。

 一時生息数が減少したトドは、ロシアや北米で保護されて回復傾向にある。知床に来遊するトドは、主に繁殖地の中部千島からスケトウダラなどの魚を求め来遊してくるが、スケトウダラの減少と共にトドの来遊数も減っている。変わって日本海側に現れるトドが増加している。

ナショナルジオグラフィック日本版2月号に「風蓮湖」の記事が掲載されます

ナショナルジオグラフィック日本版 2017年2月号(1月30日発売)の「写真は語る」に ー風蓮湖、鳥と漁師の冬ー が掲載されます。ウェブサイトにも掲載されていますので、下記よりご覧ください。

http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/photo/17/011300007/

http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/photo/15/269803/011700018/

 

ブリザードが過ぎて

 急速に発達した低気圧が北海道を過ぎ去った後も、強い北西の風がビュー、ビューと音を立て雪煙を巻き起こし吹いている。この強い北西の風が年末から彷徨っていた流氷群をオホーツク沿岸に着岸させた。そんな強風が吹くなか、逆光に浮き立つ白とブルーのコントラストが美しいシュカブラ(雪紋)が残る野付半島にはいった。いつもは無数にいるエゾシカも数少なく、林のなかで風が静まるのを待っているようだ。約30kmほどの細長い半島に、まばらにいるエゾシカのなかから立派な角を持った一頭のオス鹿に惹かれ雪原へと下りた。シュカブラに足跡を残すのを惜しみつつ、ゆっくりとオス鹿へと向かって歩き、じっと落日を待つ。やがて太陽は西へと傾き、淡く燃ゆるように地平線へと消えていった。

写真展開催中です

写真展「NATURE CRAZYS」ーライフスケープ編集長が推す”常識やぶり”な若き写真家たちーが富士フィルムフォトサロン仙台で2月7日まで開催されています。会場内でオリジナルプリント(サイン入り)も販売されておりますので、ぜひお立ち寄りください。

一本松

 ここ数日、風蓮湖の氷上でテントを張り、撮影を続けている。真夜中には満天の星が煌いていたが、明け方に湧きはじめた薄暗い雲に、瞬く間に隠れていった。気温は氷点下18℃、風もなく気温ほど寒さを感じない穏やかな朝だ。水平線からわずかばかりの雲のすき間に、太陽が顔を見せると、燃えるような真っ赤な光芒が上空に真っ直ぐ伸びた。サンピラーと言われる寒冷地特有の自然現象(細氷現象)で、空気中の水蒸気が凍って太陽の光に反射して見える。太陽が昇り、サンピラーが消えかけると間もなく優に樹齢100年を超える一本のグイ松の樹上に、魚を咥えたオジロワシがとまった。長年、この厳寒の地で暴風雪に耐えながら、多様な動物たちと人間の生活を見守ってきたことだろう。

フォトブック「北国の小さな物語」が完成しました

富士フィルムフォトサロン仙台で開催中の写真展「NATURE CRAZYS」 ーネイチャー・クレイジーズ ライフスケープ編集長が推す”常識やぶり”な若き写真家たちー 開催に伴いフォトブック「北国の小さな物語」が写真展会場とインターネットで販売されます。北海道の四季を通じて人知れず繰り広げられている動物たちの小さな物語を写真と文で紹介しています。内容詳細とご購入方法は下記のページからご覧ください。

http://www.fukei-shashin.co.jp/lifescape/

 

気嵐(けあらし)

 氷点下25℃に達した夜明け前、月光に照らされた水面に気嵐が立ちはじめた。遠方に眠っているタンチョウの群れが、望遠レンズを通して気嵐の漂う合間に垣間見える。頭を羽毛に隠し、1本の足を交互に使い立ち続け、じっと太陽が昇り温かくなるのを待っている。やがて霧氷に覆われた河畔林に光が差しはじめると、モノクロームの世界が広がり、より厳寒に生きる生命が輝いてみえる。間もなく陽光がタンチョウたちに降り注ぐと、喜ぶように舞いはじめ、鳴き交わす声が辺りの静寂をかき消していく。厳冬期の凍れが強まるたびに、太陽の恩恵を切に感じる。人も動物も共に温もりが恋しくなる季節がやってきた。

小寒を迎えて

 氷点下10度の寒気を纏った風が吹き抜けるなか、一羽のアトリがナナカマドの紅い実を必死に食べている。本来群れで移動する冬鳥だが、辺りを見回しても他の個体は確認できない。採食に夢中になり、群れからはぐれたのだろうか。それとも猛禽類に追われ、いつの間にか一羽になったのだろうかなどと想像している間に、4粒の赤い実を食べ終えると、風にあおられるように飛び立ち、黄褐色の小さな体がみるみるうちに青空へと消えていった。この小さな体のどこに厳冬を越すエネルギーが秘められているのか、小鳥たちを見ると、いつも生命の強さと神秘を感じる。

謹賀新年

 謹んで新年のお祝いを申し上げます。昨年はご愛顧いただきありがとうございました。この時期になると、年を重ねる度に一年がまたたく間に過ぎ去っていくように感じられます。名残惜しく2016年を終え、阿寒国立公園内にある美幌峠で元日を迎えました。氷点下20度の寒気のなかで雲海から昇る初日の出を迎えた後、タンチョウの撮影のため鶴居村に向かいました。その道中、流れる車窓からダイヤモンドダストがキラキラと雪原に舞い降りていました。2017年、まずは素晴らしい光景に恵まれスタートできました。この新しい年が皆様のより佳き年となりますようにお祈り申し上げます。東の空にオリオン座が輝く鶴居村より。

写真展のお知らせ

  

 写真展「NATURE CRAZYS」 ネイチャー・クレイジーズ   ライフスケープ編集長が推す"常識やぶり"な若き写真家たち

      上田大作 ・ 佐藤岳彦 ・ 高久至 ・ 増田弓弦 

 

 2017年1月12日(木)~2月7日(火) 富士フィルムフォトサロン仙台で写真展を開催します。

  風連湖ー氷上に生きる生命

北海道東部にある風蓮湖では毎年1月になると湖が結氷し、伝統漁の「氷下待ち網」が行われます。この漁が行われる事により始まる、漁師と動物(オオワシやオジロワシ、キタキツネなど)たちの多様な物語と多彩な表情を見せる美しい氷上の景色を文章と併せて展示します。良かったら、会場までお越しください。

 

同時に「本屋ライフスケープ」も開催されます。4人による限定版フォトブック、雑誌「ライフスケープ」のバックナンバーやネイチャー系写真集などを集めたミニ本屋が期間中会場の一角に登場します。是非お立ち寄りください。

 

  会場富士フィルムフォトサロン 仙台  入場料:無料  企画 (株)風景写真出版   協力 富士フィルム株式会社 

 

 

 

冬のはじまり

 氷点下15度の寒気に包まれた朝を、連日のように迎えている。例年になく早い冬の訪れだ。 ラニーニャ現象の影響なのかは明らかではないが、冬型の気圧配置が続き、強い北風と共に流氷はサハリン沖を南下し、流氷初日も1月上旬には期待できそうだ。北海道東部の湖沼や湾内は結氷を始め、早くも厳冬期の表情を見せ始めている。積雪も多く、山や森からエゾシカの群れが続々と雪の少ない風衝地に植物を求めて集まっている。湖が結氷すると氷上はエゾシカやキタキツネの獣道となり、食物を求め森から森へと生命を繋ぐ移動路となる。その周辺のヨシ原ではコミミズクがネズミを探しながら長い両翼を風に乗せ舞っている。ハマニンニクの群生地では雪ホオジロの群れが忙しく行き来し、殺風景な景色に彩りを添えている。これから厳寒で過酷な季節が始まる北の大地で、生命の力強さと脆さをも秘めた多様な物語が刻一刻と繰り広げられていくだろう。

小さな瞳

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 雪が深々と降っている。ミズナラの大木の陰で、雄グマが呼吸に合わせ、巨体を震わせ眠っている。夏から追いかけてきたヒグマだ。カンジキのような足跡を辿り、ようやく出会うことができた。夜中から早朝にかけ、たらふくドングリを食べたのだろう。ぐっすり眠っている。時折大きなお腹を抱え、寝返りする仕草は、どこか人間と似ていて、思わず笑みを浮かべてしまう。森に点在するトドマツの幼木が視界を遮るため、ふわふわの雪のなかをゆっくり歩み寄った。「バキッ」雪に隠れていた小枝を踏んだ。その瞬間、黒く大きな巨体がゆっくり起き上がった。そのまま大木に寄りかかり、どっかり座り此方を見つめている。雪に照らされた小さな瞳がキラキラと輝いて見える。美しい!黒く澄んだ瞳には優しさと凛とした野生の力強さが内包している。その瞳で私の全てを見透かされているかのような、今までにない不思議な感覚が身体中を満たしていく。いっとき此方を見つめ、鼻を高く突き上げた。安心したのか、大きなあくびを一つした。そのまま倒れるようにうつ伏せ、再び眠りについた。真っ黒で大きな背中は、瞬く間に白く包まれていった。間もなく静かな森の片隅で、長い長い眠りにつくだろう。

流星群

 零時を過ぎた三日月の夜、雪化粧した知床連山の天上を流星が駆け抜けた。おうし座流星群だ。10月に入ってから不安定な天候が続き、夜空をゆっくり眺めることも出来なかったが、今宵は風もなく穏やかだ。時折、繁殖期を迎えたオス鹿の寂しげな鳴き声が山裾に響き渡り、静寂をかき消す。気温は0度、この時期にしては、冷え込んでいるが何故か心地良い。知床連山を越えた羅臼の海は、煌々と漁火が灯され、山の輪郭がはっきりとわかる。しかしその灯かりにも負けず東の空にはオリオン座が美しく輝き瞬いている。その上空をまたひとつ流星が駆け抜けた。

森粧う

 ここ1週間、寒暖の差が激しく季節は駆け足で初冬へと移ろいでいる。落葉で少し明るくなった森のなかを雪虫が舞い始め、ミヤマカケスが忙しくドングリの採餌をしている。林床はふかふかの絨毯のように落葉で覆われてきた。

 今季は台風がもたらした塩害で諦めていた知床の紅葉も、局所的ではあるが黒ずんでいたはずの葉が、この数日で息吹をとり戻すように一斉に色付き始めてきた。多様な色彩を纏った空間に誘われ、森へと美しい光を追っている最中も、ひと風ごとに乾いた葉が一枚一枚、音を立て舞い下りてくる。その様子を青空へと真っ直ぐに伸びるカツラの大木の下で見上げていると、V字編隊を組んだオオハクチョウが喉を鳴らしながら知床の山を越え、南西の方角へと消えていった。

 名残惜しく過ぎゆく時に、あと何度出あえるのだろうか。秋に美しい景色に出あう度、そんな想いを募らせていく。それは同時に人生の短さを、教えてくれているように感じられるのです。

生命(いのち)の連鎖

 早くも雪化粧した知床の峰々の上空を次々と巻雲が北西から流されてくる。強い寒気と低気圧の影響で知床は不安定な天候が続き、寒さが一段と増してきた。

 先月下旬から撮影地を移動し、沢を歩きヒグマなどのフィールドサインを追っている。多くの夏鳥は南へと去ったなか、沢沿いの笹薮からコマドリが顔を見せ、張りつめていた緊張感が一瞬やわらいだ。もう今頃は、南へと渡っているだろう。度重なる台風の影響(塩害など)で、紅葉する前に黒ずんだ葉や落葉している木々が目立ち、山麓は冬枯れの景色へと変わっている。沢には足の踏み場もないほどカラフトマスの魚影が濃く、5~6歩進めば踏みつぶしてしまう数が遡上している。この10年でこれだけのマスは初めて見る。しかし2週間経った今ではその数も減り、産卵を済ませ息絶えた魚体が瀬に連なっている。代わりにそれを目当てにオオセグロカモメやセグロカモメが集まり始めるている。同時にカモメを執拗に追うクマタカの姿を多く見かけるようになった。

 厳冬に向け、生き物たちは秋に多くの脂肪(エネルギー)を蓄えなければならない。「食う、食われる」の関係、それは生命の連鎖。カラフトマスはカモメのなかで、カモメはクマタカのなかで生き続けるだろう。ここ数日、大気が温められると決まって冷気と共に峰々を越えて乱層雲が上空を覆い始める。今日もまた冷たい雨が降りはじめた。

 

共生

 まもなく10月を迎えるが、暖かく穏やかな朝が続いている。先週から日ごとに色づく紅葉も、今週は足踏みしているように感じる。日課のように沢へと向かうと、何時ものようにカワガラスが「ピィ、ピィ」と上流から飛翔しながら出迎えてくれる。水面に映るカラフトマスの魚影は日ごとに減り、瀬や岸に息絶えた魚体の姿が目につくようになった。腐敗した匂いが上流から微風と一緒に流れ、森を包み込んでいく。

 魚止めまで上る途中、沢を覆うほど広がるミズナラの樹冠からドングリが頭に落ちてきた。足を止めてみると、次々と林床に落ちてくる。不作だった昨年と比べると秋の稔りは良さそうだ。

 さらに上流へと足を進め、ヒグマの足跡や食痕、糞を辿っていくと、一本の桂の大木が目の前に現れた。今にも崩落しそうな断崖に、巨岩を包み込むように抱く幹のような太い根、その姿に強く惹かれ立ち尽くす。巨岩が支えられているのか、桂の大木が支えられているのかは分からないが、共に長い年月、この知床の森で多くの物語を見守ってきたことは想像できる。

 今年で何度目の秋を迎えるのだろうか。あと1月もすれば、黄色く紅葉した姿を見せてくれるだろう。

 

帰燕

 昨日から強い北風が吹いている。一昨日までの暖気が嘘のように昨晩からぐーんと冷え込み、今朝の知床の気温は8度。今季一番の冷え込みとなった。先週から通っている沢沿いに群生するカツラの紅葉が、一段と黄色く色付いたのがわかる。これから日一日と森の色彩は休むことなく秋色へと変わっていくだろう。 

 薄明から川霧の中を数羽のカワガラスが忙しく行き来している。その下ではカラフトマスの遡上が絶え間なく続き、産卵を終え魚体が傷ついた個体や、力尽き流されていく個体も多く目につくようになってきた。その魚影の動きに反応しながら、樹上からオジロワシがじっと見つめている。薄日が射し、陰に潜めていた輪郭と鋭い眼光が浮き出てきた。

 一昨日まで高く澄んだ空を縦横無尽に飛び交っていたアマツバメの姿は見えなくなった。あと一月もすれば北の空から、V字編隊で喉を鳴らしながら騒がしくオオハクチョウがやってくるだろう。

森へと命をつなぐカラフトマス

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 知床連山の裾野にも秋の訪れを感じるようになってきた。森に入ると山葡萄やイタドリなどの葉が色づき始め、林床には色彩豊かなキノコを目にする。山裾へと森を縫うようにして伸びる支流にも、カラフトマスが遡上し産卵を始めている。その流域にはヒグマやキタキツネ、オジロワシ、シマフクロウなどが姿を見せ、水中ではカワガラスやヤマメ、オショロコマが産卵床から流れた卵を競うように食べている。北の森は厳しい冬に向け、少しずつ緊張感をもった空気が漂いはじめている。

 頭上をアマツバメの親子が風を切り縦横無尽に飛んでいる。もう間もなくすれば、南へと渡っていくだろう。

遠雷

 近年、記憶に無い3つの台風が続けて北海道に上陸し、知床半島も未だに不安定な天候が続いている。しかしこの台風が大雨をもたらせ、増水した川のおかげで人工物を越え、カラフトマスが次々と遡上を始めている。この夏に巣立った幼鳥を連れたオジロワシの親子も、マスを求めて流域に姿を見せるようになった。

 あれだけ賑やかだったキビタキやオオルリの囀りも森から消え、力無いアカエゾゼミの鳴き声が、夏の終わりを告げているようだ。日一日と冬至に向けて、日も短くなり、本日の日没は18:07分。朝晩の風も冷たくなり季節は秋へと移ろい始めている。日没後、発達した積雲から轟音と共に鋭く美しい光が、薄暗くなったオホーツクの海を照らし出した。

ヒグマの森

 北海道の多様な山や森を多く見て歩いたが、知床ほどヒグマに出会えるフィールドはないだろう。この日もエゾイラクサを食べるヒグマに出会った。この夏は山桜の果実が豊富で赤い実が残ったままのヒグマの糞を森でよく見かけた。

 8月中旬に入るとカラフトマスやシロザケを目当てに河川や海岸沿いに下りてくるヒグマを多く見かけるようになるが、ヒグマの栄養源のうち鮭、鱒が占める割合は全栄養源の5%にすぎないといわれている。多くの栄養源は森のなかで植物や昆虫を食べ、ひっそりと生きている。

雪渓の周りはいつも春

 知床半島も気温25度を超える日々が続いている。そんななか知床連山の尾根を目指した。早朝に出発したものの背負っている荷の重量も有り、汗が止まることなく流れ足取りが鈍い。 

 途中、遠方からの沢音に涼を感じ、巨岩の脇で密やかに咲くタカネナデシコに元気をもらい大沢の大雪渓を超え尾根に辿り着いた。雪渓の周りの雪田地帯にはチングルマやエゾコザクラ、エゾノツガザクラ、キバナシャクナゲなど次々と咲き、風に揺られている。多様な色を纏ったお花畑の光景は春のようだ。エゾコザクラは芽吹きから開花までの平均期間は8日間。短い夏を駆け足で咲き誇り、次の命へとつないでいる。

エゾライチョウの森

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 早春、新緑芽吹く知床の森に「ピィーッ・・・・ピッ、ピッ、ピッ、ピッ」かん高い鳴き声が響き渡る。エゾライチョウのものだ。ひと目会いたいと鳴き声を頼りに探し歩くが深い森へとその声は遠ざかり消えていく。その姿を見ることは叶わなかった。

 7月上旬、エゾライチョウの巣立ちの季節。ヒナを連れた親子を探し知床の森を歩いた。小さな沢を幾つか越え針葉樹と広葉樹が混在する鬱蒼とした森で、突然鋭い羽音とともに林床から黒い影が飛び立った。親鳥だ!トドマツの高い枝に止まり上下に頭を動かし警戒している。近くにヒナがいると察し、静かに歩み寄ると小さな影が一つ、二つと次々に羽音をたて飛び立ち一羽がトドマツの低い枝に止まった。小さな体を暗い影に潜め小刻みに小さな囀りで親鳥を呼んでいる。しばらくすると親鳥の囀りに導かれ枝から枝へと沢を越えて深く暗い森へと消えていった。

知床連山の短夜

 夏至を過ぎた知床連山の稜線で夜を待った。ウトロ沖に日が沈み、ウブシノッタの沢筋から生暖かい風と共にトラツグミの囀りが微かに流れてきた。雪渓が残る荒涼とした景色は少しずつ闇に包まれ、やがて満天の星が瞬きはじめると峰々の天上に銀河が架かり流星がかすめていく。昼間は遠方に感じた斜里や標津の町も灯りが煌々と輝き、知床の景色の一部となっている。

 ふと懐かしく思い出した。星空の下、大雪山の稜線を灯りのない闇を探し歩き続けたことを。結局、闇を探し出すことは出来ず、もうそんな土地が無いことを悟り一抹の寂しさを覚えた。

 真夜中を過ぎると東の空に紅い三日月が顔を出し、少しずつ星々は薄明に包まれていく。やがてルリビタキやノゴマの囀りで賑わいはじめ、峰々に朝を告げる。

クマゲラ(チプタ・チカップ)の森

 深緑で映える知床の森でクマゲラに出会った。アイヌの人たちはこの鳥をチプタ・チカップ(舟を掘る鳥)と呼んでいました。その理由は彼等の好物である昆虫(蟻など)を食べるため、松類の枯れ木に丸木舟のような形の食痕が見られるからです。この森にも点在し上下1mほどの大きな食痕も見られます。またヒグマの居場所を教えたり、道案内してくれるカムイ(神)としてアイヌの人たちに崇められていました。

 夏至21日の夕方と翌朝、知床の森で営巣木から3羽のヒナが巣立ち、深い森の奥でドラミングの音が木霊しています。これからヒナたちは親鳥から多くのことを学び、森を自由に飛び交うことでしょう。

 

キタキツネの森

 6月、知床の森はエゾハルゼミの鳴き声で支配されている。陽射しが森を温めると早朝から賑わい始め、動物や鳥を探し歩くのに最も重要な多様な音がかき消される。時折静まる合間を縫ってアオジやキビタキなどの多様な小鳥の囀りが頭上から聞こえてくる。陽光に透過された高い樹冠は深緑であふれ、陽が昇るにつれ空間を染めていく。そんな生命力で漲っている森を幾つもの倒木を越えながら獣道を進んだ。至るところでアカエゾマツなどの倒木更新が見られ青々とした美しい林床に見惚れどこまでも深く入り込んでいく。

 大きなトドマツの倒木の間から微かな視線を感じた。それは母ギツネの帰りを待つ仔狐のものだった。風が吹き樹冠を抜けて一筋の光がその瞳を照らした。サファイアのように透き通った美しい瞳には凛とした野生の力強さが早くも芽生えていた。

トラツグミ(鵺ぬえ)の森

 北海道で活動を始めて間もない頃、深い森へとシマフクロウを探すため足を踏みいれた。時間を忘れ探し回っていると昼間でも薄暗い森の奥から「ヒィーヒィー」「ヒョーヒョー」寂しげで不気味な鳴き声が響きわたってきた。しかし鳴き声のする方向をいくら探しても姿を確認できない。

 太陽が沈み森が暗闇に支配されると鳴き声は一層と不気味になり、背後を追ってくるように聞こえてくる。当時、鳴き声の主がわからなかった事もあり恐怖を感じ、森を足早に駆け下り車へ戻った記憶がある。

 その鳴き声の正体はトラツグミ。実は古事記や万葉集をはじめ古来より伝説の怪物「鵺」として日本文学に登場し恐れられてきた。 

 そんなトラツグミと知床の森で出会った。今はその鳴き声も怖くはない。

知床 羅臼岳南西ルンゼ

 5月上旬、知床の峰々はまだ雪で覆われている。山容は日一日と春の訪れを知らせ、終わりつつある雪景色を名残惜しみながら知床峠へと車を走らせた。峠からスノーシューに履き替え、長い年月強風に耐えたダケカンバの奇形樹の群生地を縫うように羅臼岳の麓まで進む。気がつけば辺りは音のない世界に包まれていた。

 斜度は高度を上げるにつれ増していき、壁のように聳え立つ黒い岩肌に挟まれた雪渓(南西ルンゼ)が現れた。斜度は40度から45度、ここでスノーシューをデポしアイゼンを装着し一歩ずつ慎重に足を運ぶ。高度を増すごとに変わる光景に息を呑み、疲れを忘れ高度を上げていく。、標高1400mを越えた頃だろうか、ハイマツ帯からギンザンマシコの優しい囀りが風と一緒にながれてきた。ピーンと張りつめていた空間が一瞬にして緩んだ。忙しくハイマツ帯を行き来し繁殖の準備をしている。オスの紅く美しい婚姻色にしばらく見惚れ,またピークを目指し雪渓にステップを刻んでいく。

 まだ雪深い知床の尾根で小さな春の訪れを感じた。五月下旬には知床の山麓も新緑に包まれ多様な音で賑わい始めるだろう。

ミソサザイの沢

 北海道東部の林床の雪解けも一斉に進み、福寿草の黄色い花々が遅い春の訪れを知らせてくれる。そんな4月のある晴れた朝、車を走らせ道東にある沢へと向かった。寒気を纏った北風がビュービューと吹き気温は2度、寒さに慣れているはずの身体も、芯から冷えてくる。目的地に着くと原生林に木霊するアカゲラのドラミングで迎えられた。幅2mほどの沢に入ると、ミソサザイがどこからかやって来た。青々とした苔に覆われた倒木の上に止まり、小さな体を震わせながら繰り返し美しい声で囀っている。その体からは想像できないほどの声量に、どこにこんな体力があるのかいつも不思議に思う。

 囀りに導かれるように沢を上っていくと、時折岩魚の魚影が足元を素早くかすめて行く。この日小さな沢を5本ほど歩いたが、どの沢にもミソサザイの美しい囀りが水流の音にかき消されることなく流れてきた。

 何キロほど歩いたのだろうか。太陽は西へと傾き、水面に映り込む木々の影が伸びていく。上流の水源に辿り着くと、まだ新緑にはほど遠い北の森で、眩いばかりに水面が深緑で輝いている。そこに広がっていたのは梅花藻(バイカモ)の大群生地だった。よく見ると清流に揺られながら小さく白い可憐な花が数輪咲いている。冷たい清流のなかで春が密やかに芽生え始めていた。

 薄暗くなった帰路の途中、沢沿いで一頭の若いヒグマに出会った。一瞬見つめ合ったがすぐに森へと姿を消した。今年初めての出会いだった。これから冬にかけて新たな出会いの予感と一抹の不安を感じながら足早に沢を下り車を北へと走らせた。

トークイベントのお知らせ

  【NATURE CRAZYS 写真展記念トークイベント】

    「自然写真家という旅」 

       
    増田弓弦×上田大作

          

     日時:5月15日(日)19時~21時

       会場:本屋B&B (下北沢)

     入場料:1500円+1ドリンク500円       定員50名、要予約

      良かったら会場まで遊びに来てください。お待ちしています。
   

      

      

  

 

ギャラリー Photograph 「原始の森  Forest of primaeval」 を公開しました

「原始の森 Forest of primaeval」 を公開しました。当HPリニューアル後、カテゴリー別に解説文、各写真にキャプションを記載し紹介していますので御覧ください。

写真展のお知らせ

写真展「NATURE CRAZYS」ネイチャー・クレイジーズ-ライフスケープ編集長が推す"常識やぶり"な若き写真家たち

   前編 : 2016年4月15日(金)~2016年4月28日(木)   佐藤岳彦   高久至

   後編 : 2016年5月13日(金)~2016年5月26日(木)   増田弓弦   上田大作

   開館時間 10:00~19:00  最終日は16:00まで

会場:東京都・六本木フジフィルムスクエア  入場料:無料  企画 (株)風景写真出版   協力 富士フィルム株式会社 

トークイベントも予定しておりますので、良かったら会場まで足を運んでみてください。

ホームページをリニューアル公開しました

ホームページをリニューアルしました。Photographを近日中に新規公開予定しております。Movie作品はもうしばらくお待ちください。どうぞ宜しくお願いいたします。

ギャラリーページ Shiretoko National Park を公開しました

夏の東北、晩秋の大雪山と取材を終え、今年、世界遺産10周年を迎えた知床の森へと足を踏み入れた。ヒグマやエゾシカ等の動物たちに出会えたが、10年ほど前に訪れた頃とは環境は一変していた。
 人と動物との「共生」・・・という言葉と、自然に対する謙虚さを失った人間の行為との狭間で、知床の自然のリズムの調和は崩れ始めている。確実に動物達の多くの命が犠牲になっている。人と動物との「共生」、この言葉に内包される混沌と真理を各々が意識し、より良い知床の未来を想像することが調和への一歩だと思っている。近い将来、ここ知床が世界に誇れる世界遺産になることを心から願っている。

 

 

 

ギャラリーページ  Mt.Daisetsu National Park を公開しました

大雪山の初夏から晩秋にかけての短い夏の光景を公開しました。今シーズンはどんな出会いが待っているのでしょうか?みなさま良かったら足を運んで大雪山の息吹を五感で感じてみてください。

ご来場ありがとうございました

「ネイチャー・クレイジーズ」富士フィルムフォトサロン大阪企画展、無事に終了いたしました。会場までお越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。また日ごろより応援していただいている皆様、心より感謝申し上げます。

写真展のお知らせ

今年1月に創刊した写真誌「ライフスケープ」(株)風景写真出版  編集長が推す”常識やぶり”の若き写真家たち「ネイチャー・クレイジーズ」富士フィルムフォトサロン大阪 企画展に「風連湖ー氷上に生きる生命」作品10枚を展示します。他3名の作家の作品も展示されますので是非ご覧ください。 企画写真展「生(ライフ)」との併催になります。 日程:3月20日(木)~4月1日(水) 会場:富士フィルムフォトサロン大阪(大阪市中央区本町2-5-7大阪丸紅ビル1F) 富士フィルムフォトサロン

ギャラリーページ Winter~Spring Of Hokkaido を公開しました

流氷に覆われた厳冬からゆっくりと雪解けていく早春まで、凛として生き抜く生命の営みを御覧ください

冬至を越え太陽の軌道が日一日と高くなり、早くも流氷がオホーツク海の水平線に姿を見せています。風が流氷を運び流氷が多様な生命の糧と物語を運んでくれます。その物語は希望を運び多くを勇気づけてくれるでしょう・・・・・・・春はもうそこまでやってきています

TOPページを更新しました

TOPページを更新しました。現在、厳冬期の大雪山取材の準備をしています。新たな出会いと幸運が訪れることを祈りながら・・・・・そしてみなさまにも

ギャラリーページ Autumn~Winter Of Hokkaido 公開しました

秋~冬にかけて北海道の厳冬を生きぬく動物達の姿を公開しましたので御覧ください。

現在、大雪山にて晩秋から初冬にかけての風景と動物達の撮影を続行中です。近年にない素晴らしい紅葉と初雪に巡り合うことができました。あらゆる出会いに感謝しています。

ギャラリートップページを更新しました

ギャラリートップページの写真を3枚更新しましたので御覧ください。また9月には秋~冬の北海道の景色を公開しますのでどうぞ宜しくお願いします。

ホームページ Summer~Autumn Of Hokkaido を公開しました

夏~秋にかけての北海道の動物達の写真を公開しましたので御覧ください。
春より大雪山の稜線から山麓に亘り、風景に花や動物の取材を続けております。近々、公開を考えておりますので宜しくお願いします。

ニッコール年鑑 2013~2014 作品掲載しています   

1952年より毎年発行されておりますニッコール年鑑の2013~2014年度版に招待作品として「シロカモメ」を掲載しておりますのでご覧ください。

田淵行男賞を受賞しました

「風連湖-冬の物語」が、第4回田淵行男賞を受賞しました。選考概要については、田淵行男記念館(公式サイト)での発表をご覧ください。また入賞作品は当サイトギャラリーページにも掲載予定です。